ハーバード・ビジネス・レビューに面白い翻訳記事が載っています。
採用できる/できないの違いと、対処療法について
採用コンサルティングに関わっていた過去に見聞していたことで、こんなことがよくありました。
- 「挑戦者求む」という打ち出しをするけれど、人事評価は減点主義なので、誰も「挑戦しない」
→評価制度を見直す必要がある
- いまの組織を壊してくれるパワーのある人を採用したい、というものの、本当に「組織文化」を壊す人は採用しない
→「現状打破」のレベルが曖昧。かつ採用した方を適切な職位につけていない
- 自分より優秀と思われる人や、明らかな異文化を持つ人は採用しない
→いろいろあるでしょうが、「社風」の問題に起因する
自分より優秀な人を採用しようという話は、目新しい話でもなく、以前からずっと指摘されてきたことです。実際にそれをおこなうのは、とてもむずかしいというだけの話。
上記のようなことができない会社ってのはどういう特長があるのか、そもそも特長があるのかということでいえば「ある」という風に、ぼくは思っています。まず現状維持に意識がうごき、自社の視座からみたとき「異端」と思われる人は採用しない組織は
- 人数規模が大きく
- 事業ポートフォリオががっちり決まっている企業
何社くらい、と比率を数字でいえれば便利なんですが、記録していないので曖昧なのです。まぁ言ってみれば、そろそろ社内が派閥化をしはじめているようなステージの会社になるのかな。30人って小規模じゃんとなりますが、この場合は「経営者」が自分より優秀な人を採用しないというよりも、「爆発的に活躍してもらえる」組織になっていないことに起因する離職が目立つんですよね。
この辺はすごく難しいところで、また別の経営課題になるのですが。
話を戻すと、「じゃあ、採用できないじゃん」と匙を投げ出すわけにはいかず、絶えず「採用課題」は残るわけです。
この場合、ひとまずの対処方法として、どういうことをおこなったかというと
- 上席を交えて、「来てもらいたい人材像」のスキル・知識・経験以外の行動様式・思考傾向についてコンセンサスを得る
- 当該人材が活躍するための土台、役員レベルまでの下交渉を内部でおこなってもらい、言質をとってもらう
- 面接プロセスに必ず「代表者」なり「人事責任者」がはいってもらう
ということを「実現」するため人事部門との交渉をおこなう、ということをやっていました。
そこまでやらなくても、というスタンスの人もいます。採用コンサルティング側つまり経済合理性からすれば、それもありです。このアドバイス自体で金銭的対価を得るわけではないですしね。というか金銭的対価をいただくなら、もっと根本的解決にまで踏み込まないといただけないわけです。
ということは、このアドバイスをおこなうこと、おこなうための思考と会話をおこなう時間が「めんどくさい」ということになるんですよね。その「めんどくさい」を超えてでもおこなうのは、人事採用担当と採用コンサルティング側の目線と意識が共有されていて、なおかつ「この人のこと好きだわ」みたいな情の総量が多いときになるのかなぁ。